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企業の海外流出を促す、酷税

我国の法人税は、世界各国の中でもかなり高い水準にあるのではと思っています。記憶が確かならば、近隣の中国や韓国は32%台ではなかったかと思います。しかし、我が国は以前に比べ幾分下と言えどもまだ42%と、前述2国に比べても10%以上も高いわけですから、

企業の国際競争力の点からもハンディキャップを企業に課していると思います。又、現政権が「相続税の増税」構想を打ち出したと聞いています。一説によると、課税の対象を広げ「薄く広く」に課税を行い、現在の最高税率である50%をもさらに引き上げるとのこと。一部の欧米先進国や近隣のシンガポールやマレーシアといった国々には、この相続税という税そのものが存在しないそうですし、世界の潮流は相続税を含め税を減税する方向に向いていると聞いたことがあります。このほか我が国の空港や港湾の使用料は、世界でも抜きに出て高い為、ハブ空港やハブ港湾とはならず、韓国のインチョン空港が東アジアのハブ空港になっているとも聞きました。

高い税金徴収を目論んでも、その税金を支払う企業が、海外各国へ流出してしまっては、何の意味もないどころか、国内の雇用問題ひいては国内の消費問題にも影響し、当初の目的(税収増)とは全く逆の効果しかもたらさないのではと思います。現政権は、かつては一億総中流意識を持っていた国民の中に、20年に渡る長期の経済低迷のせいで、大きな格差が生じ、中流(中間)層が激減しているという現状認識から、税金に再配分機能を果たせようとしていると思います。しかし欧米先進国全般を見渡しても中間層は減少傾向にあり、我国だけの特殊な現象ではないことをよく認識すべきではと思います。また我国の税の体系は、いつ頃からか記憶が定かではありませんが、歪で継ぎ接ぎだらけだと言われ続けていました。今回の国家予算の構造を見ると、税収よりも国債発行(借金)の方が多い、国家財政のなかで、目先の税収増加を考えての増税は、逆効果だと思います。相続税の増税は、国内の金融資産の海外流出を招くだけではなく、同族経営形態の多い中小企業には深刻な問題となり、廃業や身売りが増加することと思います。

税収不足の中で、国家経営を立て直した実例の一つに、イギリスに隣接するアイルランドという国があります。アイルランドは外資誘致に際して専門の担当省庁を設置し、税制優遇を徹底して行い、世界の名たる企業の誘致に成功し、その後の経済発展につなげた例があります。間もなく、GDP世界第2位の地位を中国に譲るとしても、我が国は依然として世界経済の中で、それなりの地位と重要度を有しています。その我国が戦略的な低税率、高優遇の経済特区を主要各地に設ければ、世界中から企業を誘致できると思いますし、雇用情勢も格段の改善がみられる筈だと思います。又単年度会計を止め、複数会計制として、国・地方自治体・独立行政法人等の無駄使いを一掃し、税体系を根本的に見直し、税の配分を戦略的に行えば、我国再生のチャンスはまだあるのではとい思います。

現行の諸制度の抜本的な改革をしないで、その場しのぎの税による所得の再配分による経済効果を狙っても、きちんと納税や保険料の納付をしている国民の間にさえも、結局「正直者がバカを見る」という、一種のモラルハザード感を作り出すだけだと思います。著名な経済人のブログの中には、「国が企業に、出て行けといわんばかりの政策をとるならば、出ていくまでだ。」と語っているのがありました。発言の根底には、税のみならず製造業の現場での派遣労働の禁止などの問題もあろうかと思いますが、いずれにしても、企業の国外流出を促す様な政策は再考を要するのではと思います。

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