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「はやぶさ」の快挙と日本の技術力

6月初旬にテレビで、7年前に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」が帰還する予定と報じられていました。そして、6月13日(日本時間)深夜に地球に無事帰還しました。一連の報道を見ていて、多くの日本人が本当に感激したと思います。

なぜなら、月以外の天体から帰還した世界初の快挙だったからです。そして、化学エンジンからの燃料漏れや「はやぶさ」と地球の通信が不能となり、宇宙空間で行方不明状態が続く等、数々の深刻なトラブル続きの連続だったとも伝えられていました。それにしても、遠隔操作による危機の脱出や効率性良く長時間の航行を可能にしたイオンエンジンの開発などによって、小惑星「いとかわ」での作業を終え、カプセルがオーストラリアの砂漠で、無事回収されるという大きな成果を残してくれました。ところで、後にNECが宇宙航空研究開発機構から、開発、製造、運用までを100億円弱で請け負っていたと知り、驚いた次第です、

米国NASAの予算と比べるまでもありませんが、極めて少額な予算での成果ですから、改めて「日本企業の技術力」の高さを証明してくれたと思います。日本の電気業界は、かつての勢いが無くなり、自信喪失気味の感があった様に思います。半導体や液晶等の分野で新製品を出しても、後出しジャンケンでサムソンやLGといった韓国勢に追い付かれ、追い抜かれるといった有様で、停滞している日本の象徴の様に言われていました。しかし、今回の「はやぶさ」のプロジェクトは、7年前にも関わらず、6月14日付の日経新聞は「日本が得意とするコスト管理や省エネ技術の結晶」と報じていました。

ところで、先頃発表された「科学技術白書」によると、我国の科学技術の競争力が低下していると憂慮していました。中でも、直ぐには成果が出ない、基盤科学力の現状が危機的であると警鐘を鳴らしていました。また長引く国内経済の低迷が背景に有りますが、企業はキャシュ・ポジション重視で、成果が出やすく、かつトレンディな分野に研究が偏りがちで、時間のかかる基礎的で、新しい技術領域を創造する研究への投資が疎かになっていたと指摘していました。そして一方で、基盤研究を支える研究費の政府の負担比率も、欧米先進国はもとより中国・韓国よりも少なかったと述べていました。「はやぶさ」成功のカギと言われる「宇宙用リチウムイオン電池」は、NASAをはじめ今世界中から注目を集めていますが、この様な技術開発力が、我が国の企業にはまだまだ有る筈ですから、この「はやぶさ」の成功を機会に、チャレンジ精神を発揮して頂きたいと思います。

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